現存の作家を扱う美術商の場合、美術家と美術商との関係は専属契約が多い。美術商は数ある美術家の中から作品を販売したい作家や画廊の傾向・方針と合う作家を選び、その作家と契約を交わす。美術家は制作した作品を、契約した美術商(複数いる場合もある)に独占的に販売(または委託)する。
美術商(ギャラリスト)は、美術家のマネジャーのような存在である。ギャラリストは美術家を育成・指導し、彼ら彼女らがより大きな発表機会に恵まれるよう美術館やキュレーターに紹介して回り、また作品を購入してくれそうな顧客を回り、売上げや制作に必要な資金を美術家に支払う。
ここでも、美術史や制作方法の知識や美術界の動向のほか、未知数の作家や作品から人や素質を見抜く力や直感が必要であり、そのためには多くの良質の作品に触れる体験が必要とされる。
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ギャラリストには美術家の制作した作品の良し悪しを判断したり制作の方向付けや指導をするなど、作家育成の役割もある。この原動力になるのは作家が大きく育つ喜びでもあるし、大きく育った作家の作品が高く売れることへの期待でもある。一方、売れる作品作りや流行している思想・傾向にあわせるような指導が行われることもあるため、作りたいものを作ろうとする作家と売れるものを作らせたいギャラリストが対立することもある。
また、ギャラリストは何人か抱えた美術家を一斉に売り出し、結果的に美術運動を仕掛けたり、一国の美術を世界にアピールすることもある。たとえば19世紀末のパリの画商アンブロワーズ・ヴォラールは印象派などの作家の紹介に力を入れた。